線維柱帯切除術

眼圧上昇に関わる線維柱帯を取り除き目に穴をあける様な手術となります。穴をあけると眼圧は0になるので、しっかりと眼圧を下げることが出来ます。しかし、眼圧が4mmHg以下と低すぎても神経にストレスがかかり、障害が起きてしまいます。そこで、孔に蓋をして4隅を縫い、その縫った糸を術後にレーザーで一本ずつ切っていくことで眼圧を調整します。風呂釜の壁に穴をあけて、穴にパッチをするイメージです。完全に塞がないため、瞬きした時や目を左右に動かした時に、眼房水が結膜の下に漏れてくることから、濾過手術とも言われています。眼房水が沢山結膜の下に漏れてくると眼圧が下がります。その結膜の下の水たまりの部分をブレブと呼び、ちょうどいい大きさが理想です。大きすぎると眼圧が下がりすぎて低眼圧となり危険ですし、小さいと徐々に瞼に押されてブレブが癒着してなくなってしまい、また眼圧が上がってきます。こうなると手術の効果がなくなったことになります。通常、手術の半年後ぐらいからこの傾向がはっきりしてきます。その癒着を防ぐために、手術中に抗がん剤であるマイトマイシンCを塗って細胞の増殖を抑えたり、術後に傷を抑制するような点眼薬を使い続けてもらいます。更に、ニードリングと呼ばれる、注射針を使って癒着を外す処置をします。一般に炎症による緑内障の患者さんや、若年者で傷を治す力が強い患者さんなどはブレブが潰れることが多いです。55歳以下の若い患者さんの場合には、この手術を出来るだけ人生の後半にしてあげたいという気持ちもあります。ブレブが潰れるのはコラーゲンが産生され、傷口がふさがってくるからです。ブレブが潰れて眼圧が再上昇してきた患者さんには、コラーゲンを取り除く手術(濾過胞再建術)、別の場所に線維柱帯切除術(トラベクレクトミー)の再手術を計画します。

再手術で目の上方結膜に2か所目の穴をあけても、ブレブが潰れてしまった患者さんには、シリコンのチューブで目の房水を外に流せるようにする、チューブシャント手術を検討します。それでも眼圧が再上昇してくる症例には、房水を産生している毛様体をレーザーで破砕して、房水の産生自体を減らす毛様体破砕術を行います。房水には角膜や水晶体を透明に保つ役割がありますので、これは、かなり視野が障害され、視力が悪くなってしまった症例に行う方法であり、最初の段階で行う方法ではありません。しかし、入院が必要なく、月に1回の頻度で眼圧が下がるまで繰り返し行うことが出来ます。